四則演算は医師一人で考えていると思考の癖が出る。多職種で「自分ならこうする」と話し合うのが理想。実際には割り算から始める。
÷割り算 — まず始める
複数のプロブレムをまとめられないか考える。「本当にそれが問題だったのか」という整理から入る。
例:複数の診療科を一元化する。処方カスケードを特定してまとめて中止する。心理社会的問題の根源を見つけて整理する。疾患パターンごとにプロブレムをまとめる。
+足し算 — 包括的介入を列挙
漏れなく介入方法を挙げる。標準的治療・多職種介入・ABCDEアプローチなど。
例:誤嚥性肺炎にABCDEアプローチ(急性治療・ポジショニング・口腔ケア・薬剤・栄養・リハビリ・倫理)を行う。新規診断への追加治療。がん検診・ワクチンなどヘルスメンテナンス。
−引き算 — 負担になる介入を減らす
「余計なことをしていないか」という視点で、治療負担になっている介入を減らす。
例:PIMs(潜在的不適切薬)を中止する。検査の必要性を事前確率で判断して絞る。ポリアドバイスになっている生活指導を整理する。末期がんでは予防目的の薬を中止(Deprescribing)。
×掛け算 — レバレッジポイントを探す
少ない介入で大きな効果を生む点を見つける。問題の起点(連鎖の始まり)を特定する。
例:友人の死が抑うつ・フレイルの原因と気づき、趣味再開を勧めることで服薬・歩行訓練にも波及した。農作業前に内服のタイミングを変えるだけでアドヒアランスが劇的改善。パートナーに健康管理を頼む。
第24回(最終回)より。トライアングルを埋めることが目的ではなく、3つの視点を常に頭に浮かべながら検討することが重要。
🧑 患者の視点 — バランスモデルを眺めながら患者の人生を想像する
「どんな人生を歩んできた方だろう」という視点で具体的に想像する。仕事・家族・地域・役割・生きがい。患者がどのような治療を希望しているか、ひいてはどのような人生を希望しているかをイメージする。「つなナラ」で理解を深める。
🔬 医師の視点 — 疾患パターンから今後起こり得る病態を予測する
プロブレムリストを眺めながら、併発する可能性のある疾患を予測する。「今起きていること」だけでなく「今後起きそうなこと」を事前に想定する。老年症候群(褥瘡・栄養失調・認知症・失禁・フレイル)も意識する。がん検診・禁煙・ヘルスメンテナンスも確認。
🌐 メタの視点 — 外来・医療機関・地域・国までイメージする
ある見方に固執せず、別の見方ができないかと考える。外来全体のマネジメント(時間・マンパワー・スタッフの得意)。地域のリソース・社会的処方の活用。医療制度の影響。一人で抱え込まず地域のリソースを活用する。
マルモカンファレンス(南砺マルモカンファ)の位置づけ
四則演算は多職種で相談するとアイデアが生まれる。プロブレムリスト・バランスモデル・四則演算を共通言語として、各職種の言葉でどこに強みがあるかを相互理解できる。これはIPE(多職種連携教育)としても機能する。
多職種連携
IPE
ナラティブアプローチ
社会的処方
Cynefinフレームワーク